淋しいおさかな
NHKの「おはなしこんにちは」で放映された。別役実さんの童話集を22話、集めたものです。
このお話には悪人は出てきません。そして、みな一生懸命に生きています。
ただ、そのお仕事がちょっと変だったり、意味がないものだったりすることで、
思いもよらない結末になる。ちょっと悲しくて、ちょっとクスッと笑えるお話です。
作者の意図とか、言いたかったことは何だろうとか深読みしてしまいますが、
そういう読者を「ふふっ」と笑っている別役さんの顔が見えるような気がします。
「白い小さなロケットが降りた街」
「猫貸し屋」
「迷子のサーカス」
「一軒の家・一本の木・一人の息子」
切ない終わり方ですが、そんな中にも、心が温かくなるお話でした。
「魔法使いのいる街」
「みんなスパイ」
「可哀そうな市長さん」
などは、クスッとしてしまう結末です。
果たして子供がどれだけ理解できたかは、わかりませんが、
一視聴者の私が、ずっと心に残っていた。こんな人が他にもいるとしたら、
半世紀も前に、こんな童話を書いた別役さんにも
放映したNHKにも「いいお仕事」だったのではないでしょうか。
朗読していたのは、田島令子さんだったようで、中山千夏さんは私の記憶違いのようです。
こちらで「おはなしこんにちは」への思いを田島さん自身が、語っていらっしゃいます。
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