絵画の知識ほぼゼロの私が「江戸あばんぎゃるど」を観て、もっと詳しく知りたいとkindle版を購入しました。余談ながら、kindle版は読めない漢字、意味がわからない文字を長押しすると、即教えてくれるのがとても便利。
いやいや、驚くことばかり。
ボストン美術館に膨大な量が渡ったきっかけは、美術とは何の関係もない「ブラキオポッド(シャミセンガイ)」だったこと。
俵屋宗達も忘れられた時代があって、フリーアの収集で再び注目されるようになったこと。
帝国ホテルを設計したライトが、浮世絵のディーラーだったこと。
その浮世絵6000点はボストン美術館に寄贈され、今ではオンラインで見られること。
一度はフランスに渡った浮世絵を、松方幸次郎が買い戻し、今では大半が東京国立美術館にあること。
ほぉー」だの「へぇー」だのつぶやきながら、一気に読めてしまいました。
感じるのは、初めて接した日本美術に魅入られた外国人のバイタリティ。それに対して、自国の美術評価が低い日本人。
印象的だったのは「吉備大臣入唐絵巻」を落札したが、直後に関東大震災が起こり、買い手がつかず、10年近く蔵に眠っていたのを、ボストン美術館が買った時、かかわった日本人が「国賊」とまで言われたこと。
(10年の間に買えばいいだけのことで、買わなかったほうが悪い。)
この絵巻が初めて展示された時は、日本が満州国を作った時期で、アメリカでも日本に対して厳しい意見ばかり。でも、この展示を見たアメリカ人から称賛の声があがったこと。
絵画一枚、されど親善大使ともなる美術。
今はボストンに行かなくてもオンラインで見られます。フリーア美術館も門外不出ながら、デジタル化で見ることが出来ます。