泳ぐひと
’68年製作のアメリカ映画。人間って時々意味のないことに情熱を燃やしたりする。この主人公ネッド(バート・ランカスター)は友人のプールを泳ぎながら家へ帰ろうと思いついた。なんでとか、その行動にどんな意味がとか、くだらないとかいろいろ思いながら見始めますよね。
プール付きの家に住む友人がたくさんいるのだから、本人も裕福かと思えばそうではないらしい。家に帰れば優しい奥さんと可愛い娘が待ってると本人は思っているが、それもどうも違うらしい。ということが、友人たちとの会話でわかってくる。
はじめはよかった。若い娘の連れも出来、「昔、好きだったの」なんて告白されたりして。主人公の真剣さに娘が逃げ出したあたりから、だんだん辛くなってくる。水泳パンツ一枚で、トボトボと歩く姿はどうみても中年男の悲哀しか感じられない。
昔の愛人宅で、愛人から「車で送る」と言われて拒否する姿は格好いいなんてものじゃなく、強がりとしか映らない。公営プールで入場料金を借りたり、昔の遊び仲間から借金のとりたてにあったり、さんざんな思いをして、やっとたどりついた我が家は…。
ある意味、衝撃的なラストといえるけれど、当たり前のラストかも。人生マイナスな時、マイナスなことをして、たまにかけ合わさってプラスになることはないわけじゃないけれど、普通はマイナスが増えるだけよね。やっぱり地道にプラスなことをする方がいいんじゃないのなどと、結局この映画に人生そのものを見てしまったような。
決して名作といえる映画ではないんだけれど、なんだか余韻が残る映画でした。
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